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初心者に多い役者の勘違い5選

初心者にとって、演技の分野は未知の世界であり、誤解勘違いはつきものです。ここでは、特に初心者によく見られる勘違いを5つ厳選しました。これを見て少しでも自分に当てはまると思うなら修正が必要です。

目次

1.祈りの劇場

初心者の演技でよく見られるのが、「観客に向かって演技しなさい」と指導を受けた際に、観客を意識しすぎてしまい、相手役と会話しているにもかかわらず観客の方を見てしまうという状況です。しかし、実際にはこの姿勢は適切ではありません。指導者が求めているのは、観客に対して自然に身体を開き、表情や動きが伝わりやすいようにすることであり、必ずしも観客に直接向きすぎるわけではないのです。

特に高校生の演劇では、こうした過度に意識した動きがよく見られます。観客に見せようとするあまり、かえって会話の流れや自然な関係性が損なわれてしまうことが多いのです。本来の指導者の意図は、あくまで「観客に分かりやすく演技をすること」であって、相手役との対話が生き生きとしつつも、観客にしっかり伝わる姿勢を意識することです。

演劇の基礎を学ぶ段階では、観客と相手役とのバランスを取りながら、自然な体の向きと会話のリアルさを保つことが大切です。これが身につけば、観客の方を過度に意識しなくても、自然に伝わる演技ができるようになるでしょう。

2.下手な接触

演技において、腕を組んだり身体の接触を伴う場面では、特に細やかな演技が求められます。感動的なシーンでの抱擁などは、役者が自然に演じられると非常に感動的な場面になりますが、ぎこちない演技や過剰な動きが入ってしまうと、観客としては見ていられないものになってしまいます。

このような場面では、第三者に見てもらうことが非常に有効です。第三者の視点からは、自分たちでは気づかない微妙な違和感や不自然さが見えるものです。また、相手との距離感や触れ方のバランス、表情のタイミングなどを客観的に指摘してもらうことで、シーン全体がより自然に、そして説得力のあるものになります。

リハーサルの際には、少しでも気になる部分があれば、他者に見てもらい、フィードバックを取り入れながら調整を重ねることで、観客にとって感動的な演技に仕上げていくことが大切です。

3.必要ないシーンでは叫ばない

感動のシーンや怒りのシーンで「叫ぶ」ことが必ずしも最適な選択とは限りません。感情表現には多くの方法があり、叫ぶことはその中の一つに過ぎません。場面やキャラクターの性格、物語の流れを考慮しながら、最も効果的な表現方法を選択することが重要です。

時には静かに涙を流すことで、言葉を超えた感動が観客に伝わることもありますし、沈黙の中に漂う緊張感が、言葉や叫び以上に強いインパクトを与えることもあります。怒りを表現する際も、ただ声を荒げるだけでなく、冷静に言葉を選んで伝えることで、むしろ観客にその感情の深さを感じさせることができる場合があります。

演技においては、状況や文脈を読み取り、感情の幅広い表現方法に柔軟に対応することが、より説得力のある演技を生み出します。感情を多面的に表現できることが、観客にとっても新鮮で心に残るシーンを作るポイントとなるでしょう。

4.演劇は1人でするものじゃない

演技は、他のキャストや舞台設定との対話を含むアンサンブルの芸術です。舞台上での全体の流れや相互作用が、シーンに説得力や奥行きを与えるため、個々の感情表現以上に大切です。初心者が自分の感情表現にだけ集中し、周囲の演技や舞台設定を無視してしまうと、シーン全体の一体感やつながりが失われ、観客にとっても不自然に感じられることがあります。

演技が成立するためには、共演者の動きや舞台の状況をよく観察し、その中で自分の役割を果たす意識が求められます。相手のセリフや反応に耳を傾け、場面ごとの緊張感や雰囲気に自分を溶け込ませることで、シーン全体がより自然で魅力的なものになります。

初心者が演技を練習する際には、他のキャストや指導者と積極的にコミュニケーションを取りながら、演技が「共同作業」であることを実感することが大切です。自分だけでなく、周囲との協力によって生まれる舞台の一体感こそが、観客の心を動かす本当の力となるのです。

5.声の大きさが適切でない

ピンマイクがあれば声を大きくする必要はありませんが、多くの場合、舞台での演技にはマイクが付いていないことがほとんどです。そのため、自然な演技をしようとするあまり、声が日常の会話と同じような小さな音量になってしまうのは、舞台上では適切ではありません。演劇は、どこまでいっても日常そのものではなく、観客に伝わるための表現の場です。

観客にしっかりとセリフが届くよう、声の大きさや発声方法には特別な工夫が求められます。観客席の一番後ろの人にもセリフや感情がしっかり伝わるように、普段よりも大きくはっきりとした声で話す必要があるのです。ただ単に大声を出すだけでなく、腹式呼吸を用いて声に芯を持たせ、遠くまで響くようにすることが重要です。

「自然さ」と「聞こえること」のバランスを取ることで、観客にとってもリアルで迫力のある演技が伝わります。舞台における声の使い方は、初心者にとって最初のハードルかもしれませんが、観客に届けるための基本的なスキルとして、しっかりと身につけておくべきポイントです。

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